小児矯正治療の流れ
小学生以下で開始する小児矯正治療には「一期治療」と「二期治療」という2つの段階があり、適切な時期に正しい治療を行なうことで、口腔や容姿にまつわるトラブルやリスクを軽減できます。今回は、小児矯正治療の流れについて解説します。
「一期治療」は乳歯と永久歯の混合歯列期から
一期治療は、乳歯が永久歯に生え変わる7〜9歳頃に行なわれるのが一般的です。治療を開始するためには、まず一期治療の前に初診相談を行ないます。歯の型取りや口腔内の写真撮影などは成人の矯正治療と変わりませんが、小児の場合は噛み合わせや顎関節の状態、骨格のズレなどをより詳しくチェックします。子どもは顎の骨が柔らかく、その発達を利用した治療を行なうことで、将来本格的な矯正治療や抜歯が必要なくなることがあるためです。
精密検査が終われば、そのデータを基に治療方法や期間、費用などそれぞれに合った治療計画が策定されますが、小児の場合はこの時点で急な治療は必要なく、経過観察と判断されるケースも少なくありません。矯正治療が必要と判断された場合は、専用の装具を装着して治療開始となります。治療中は3〜4週間に1回程度の定期受診を行ない、矯正治療自体は1〜2年で終了となるのが一般的ですが、その後、歯の位置を定着させるための保定装具を装着する「保定期間」に入り、そこから1~2年間は3ヶ月に1回程度のメンテナンスを行ないながら過ごします。
永久歯が生え揃う中学生から「二期治療」スタート
二期治療は、永久歯が生え揃う12歳前後から開始されます。ただし、移行する時期は人によって幅があり、受験や環境の変化などを考慮して時期をずらすことも珍しくありません。また、一期治療からの状態を再評価し、十分に効果が得られたと判断されればここで治療終了となることもあります。再評価の結果、二期治療が必要と判断された場合は治療計画の策定に入ります。二期治療では、成人の治療と同じ装置を用いた矯正治療が行なわれますが、この時期も顎の骨が柔らかいため治療効果が得やすく、成人の矯正治療よりも短い期間で治療を終えられる可能性が高くなります。一般的には、一期治療と同様に1〜2年で治療が完了し、その後1〜2年の保定期間となります。
保定期間が終われば小児期の矯正治療は全て終了ですが、定期的に受診し、口腔内の状態や噛み合わせなどを継続的に確認してもらっておくと安心です。歯列矯正はできる限り適切な時期に正しい治療を始めることでより高い効果が期待できますが、気になった時にいつでも始められる治療でもあります。お子さんの歯並びや噛み合わせに気になる点がある場合は、気軽に歯科医院に相談してみましょう。