矯正治療の痛みとは?
矯正治療には痛みが生じるのか? と不安に思う方も少なくありません。矯正治療は歯を矯正装置によって徐々に動かして歯並びを正していく治療法で、個人差や症状の差で違いは出てきますが基本的に痛みは生じるものと考えた方がいいでしょう。当院ではブラケットを使用したワイヤー矯正を行なっており、ワイヤーを歯に括りつけて引っ張る力を利用して歯を動かしていきます。矯正治療で伴う痛みは「歯が動くために起こる痛み」、「口の中に矯正装置が触れて起こる痛み」、「物を食べる際の咀嚼時に起こる痛み」に大きく3つに分けられます。
歯が動く際に痛みが起こる理由は、歯が歯槽骨という骨で支えられて、その中を移動しているためです。歯の移動は単純な移動だけでなく、動かす方向の骨を吸収し、移動して空いた部分に骨を形成することを繰り返しています。この骨を吸収する初期段階に痛みの原因となる物質が出ることで痛みを感じます。
痛みが強い場合はワイヤーを調節し緩め、歯にかかる力を弱くすることで対処可能です。矯正装置が口の中で触れて生じる痛みは原因も複数あります。矯正装置の尖っている部分、硬い部分が口の中の粘膜を傷つけていることが1つの原因です。この痛みは医療用のシリコーンなどで硬くて尖っている部分を覆うことで対処が可能です。
矯正装置が舌に当たって痛い場合もありますが、舌は頬の粘膜よりも敏感なために少し粘膜が傷ついているだけでも痛みが起きます。人によってはこの痛みが強く出ることがあるため、耐えられない場合は矯正装置を変える対処が必要です。さらに歯の移動が進んでいくと、ワイヤーが奥から飛び出てくることがあります。ワイヤーが口の中で当たって痛い場合は早急にワイヤーを切って短くする必要がありますので、すぐに歯科医院にご相談ください。また、咀嚼時の痛みは硬い食べ物を噛む際に起きやすいといわれます。歯の移動中は歯が浮いたような状態にあり、力を込めるとまだ形成段階の骨が軋んで痛みが出てしまいます。矯正治療開始直後に痛みが出ることが多いため、その期間に硬い食べ物を避けることで対処可能です。