歯科矯正治療のリスクについて
歯並びを良くできる矯正治療ですが、治療を行なううえで様々なリスクが存在します。まずは費用面のリスク。矯正治療は身体に影響を及ぼすと診断された症例以外は審美目的の治療と判断されるため、保険適用外となります。そのため、高額な治療費がすべて患者様の負担となってしまいます。また、矯正治療は歯に矯正器具を付けて長期間過ごすことになり、不快感や痛みが伴うことも挙げられます。
器具が唇に当たることに不快感があり、慣れるまでに長い時間がかかることも少なくありません。矯正治療自体、歯や顎の骨を動かす方法であるため、どうしても多少の痛みが発生してしまいます。また、矯正治療は徐々に歯を動かしていく治療であり、治療完了まで長い時間がかかり、2年以上必要とすることがほとんどです。その期間、矯正器具を装着していなければならないため、不快感や痛みだけではなく、口腔内のケアにも注意しなければなりません。
マウスピース型の矯正器具もありますが、基本的に矯正器具は取り外しができません。そのため、矯正治療中は歯磨きがしづらく、適切にケアしないと虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。通常行なっている歯磨きよりも丁寧に磨くことを意識し、歯科で正しいブラッシングを学んで、定期的にメンテナンスに訪れてください。また、長い期間かけた治療であっても、理想の歯並びになるとは限らないことも念頭に置いておきましょう。患者様の歯の状態と顎のバランスで歯の固定できる場所は変わってきます。矯正治療中に歯や顎に問題が発生して、治療を中断しなければならないケースもあります。
矯正治療中は歯根吸収と歯肉退縮という現象が起こることが稀にあり、歯肉が痩せることで下がったり、歯根が短くなったりするリスクもあると理解しておきましょう。すべての人に起こる現象ではありませんが、歯を動かす矯正治療には矯正器具による見た目の悪さだけではなく、多くのリスクが伴います。それほど大がかりな治療だと認識し、歯科医院とともに話しあい、納得のいく治療を進めていきましょう。