後戻りの原因とメカニズムを解説
矯正治療後に後戻りが起きると、綺麗に整った歯並びが元に戻ってしまいます。後戻りは起こりやすいため、適切な対策と処置が必要です。
本コラムでは、後戻りの原因とメカニズムについて解説します。後戻りを防ぐための方法もご紹介していますので、ぜひご参考にしてください。
後戻りの原因とメカニズム
矯正治療は器具によって歯を強制的に動かしているため、治療が終わり器具を外した後は元の歯並びに戻ろうとします。この現象を「後戻り」と言い、後戻りには歯を支えている骨(歯槽骨)と歯の間にある歯根膜のメカニズムが関係しています。
以下は歯を動かすために、矯正器具で圧力をかけた際の歯根膜のメカニズムです。
- 1.圧迫された歯根膜が歯槽骨を溶かす破骨細胞を分泌する
- 2.圧力がかかった方向の歯槽骨が溶けて空間ができる
- 3.新しい骨を造る造骨細胞が分泌される
- 4.歯が動いて空間ができた場所に新しい骨が造られる
このように、歯根膜の働きで骨が溶けたり、造られたりするメカニズムで歯が移動します。また、矯正治療が不十分であったり、歯並びが悪くなる癖があったりすると、後戻りしやすい傾向にあります。例えば、頬杖や歯の食いしばりなどの癖があると、歯根膜に圧力がかかり後戻りしやすくなるため注意しましょう。
後戻りを防ぐには矯正治療後の保定が大切
矯正治療後に、歯並びや噛み合わせを固定するための保定を行います。矯正治療後は、歯槽骨が不安定な状態で歯が動きやすい状態となっており、歯並びが安定するまでは、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着します。後戻りを防ぐためには、しっかりとリテーナーを装着し、歯科医師が指定した保定期間を守りましょう。保定期間は治療内容や歯科医院の方針によって異なりますが、約1〜3年間はリテーナーを装着して生活をする必要があります。歯槽骨が安定してくると、徐々にリテーナーの装着時間が短くなり、夜間のみ装着するだけになります。
また、保定期間中は数か月に1回程度のペースで通院し、後戻りや虫歯がないかを確認します。美しい歯並びをキープするために、矯正治療後も歯科医院で定期的にメンテナンスを行いましょう。
- Q1:後戻りの治療にかかる期間はどのくらいですか?
- A1:後戻りで再度矯正治療を行う場合は、最初に行った矯正治療よりも短い期間で治療が完了するケースが多く、半年〜1年程度で歯並びを矯正できます。後戻りの状態によって治療にかかる期間は異なります。
- Q2:保定装置は目立ちますか?
- A2:保定装置には種類があり色や形状が異なります。目立たない保定装置を使いたい場合は、歯科医師と相談しご自身の歯の状態や希望に合う種類を選びましょう。