マルチブラケット矯正と口内炎について
マルチブラケット矯正は、歯の表面にブラケットとよばれる装置をつけ、ワイヤーで歯を動かす方法です。「マルチブラケット矯正中は、口内炎が起きやすい」といわれますが、実際はどうなのでしょうか。
本コラムではマルチブラケット矯正と口内炎の関連性、口内炎が起こったときの対処法や予防法について解説します。マルチブラケット矯正を検討されている方は、ぜひご参考にしてください。
マルチブラケット矯正と口内炎
マルチブラケット矯正はすべての歯の表面にブラケットをつけ、ワイヤーを通して歯を引っ張り、徐々に動かしていく矯正方法です。1920年ごろにアメリカで開発された装置で、改良が進み効果や信頼性が高いといわれます。
ブラケットの装着期間はおよそ2年半〜3年です。装着期間中は歯の動きに応じて、月に1度装置を調整します。口内に器具を固定するため、慣れるまでは違和感があります。また、歯が磨きにくくなり、むし歯リスクが高まるため十分なケアが必要です。
口内炎は、ブラケットやワイヤーが擦れて口内が傷つくことで生じやすくなります。同じ場所に何度もできる、複数できてしまい強い痛みを感じる場合もあります。原因は口内にできた傷、粘膜を保護する唾液やビタミンの不足、ストレスでの抵抗力低下などです。矯正が進み、歯並びがそろうにつれ、口内炎の発症は減る傾向にあります。
口内炎への対処と予防
マルチブラケット矯正中に口内炎ができた場合の対処法として、次の3つが挙げられます。
1. 口腔用軟膏・口腔粘膜貼付剤
患部に塗る、もしくは貼り付けて粘膜を保護し、痛みを和らげる。
2. レーザー照射
歯科用のレーザーを患部に照射し、消毒・殺菌作用で治りを早くする。
3. 食事制限
痛みを引き起こして治りを遅くする、味の濃い食事や酸味・辛味の強いものを避ける。
口内炎の予防には口内を清潔に保つことが大切です。歯磨き・うがいを徹底し、疲れやストレスを溜めないように休息を取ってください。ビタミンが豊富な野菜を中心に、バランスのよい食事を心がけましょう。
装置が口内や舌に触れる箇所には矯正用ワックスを使い、ブラケットやワイヤーが当たる痛みから保護します。歯科矯正中に気になる点は医師に相談してください。
Q1:マルチブラケット矯正のデメリットは?
A1:矯正を始めたばかりや調整後、慣れるまで痛い・話しにくい・食べにくいなどのデメリットがあります。口内炎のほかにむし歯や歯周病のリスクも高まるため、歯磨きを念入りに行って口内を清潔に保ちましょう。
Q2:マルチブラケット矯正のほかに、どのような矯正方法がありますか?
A2:歯の裏側に装着して目立ちにくくする「マルチリンガルブラケット」や、食事や歯磨き時に取り外し可能な「マウスピース矯正」があります。人工歯根を歯に埋め込む「インプラント矯正」をマルチブラケットと併用する方法もあります。