歯列矯正できない例を歯科医師が解説

2025.03.04 矯正治療一般

歯列矯正を受けると、出っ歯・受け口・叢生などの不正咬合を矯正できます。しかし、歯や骨の状態によっては「歯列矯正できない」と診断されるかもしれません。
本コラムでは、歯列矯正できない例を紹介します。最後までお読みいただければ、歯列矯正できないと診断された場合の対処法もわかるため、歯並びを治したい方はぜひご覧ください。

歯列矯正で治療できる不正咬合の種類

歯列矯正で治療できるのは、以下のような不正咬合です。

・上の歯が突出している「出っ歯」
・下の歯が上の歯より出ている「受け口」
・前歯が噛み合わない「開咬」
・歯がガタガタの「叢生」
・噛み合わせが深い「過蓋咬合」

歯列矯正では、ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置を使い、歯並びや噛み合わせを治療します。

また、矯正治療の種類によって治療できる症例は異なります。例えば、マウスピース矯正は軽度の不正咬合に適した治療方法であるため、重度の不正咬合の場合は矯正する力が強いワイヤー矯正が適しているケースもあります。

矯正治療の種類と特徴については、以下のコラムをご覧ください。
矯正治療の種類と方法

歯列矯正できない例

以下の状態に当てはまる方は、歯列矯正できない可能性があります。

・骨格的な問題がある
・歯と骨が癒着している
・重度の虫歯や歯周病がある
・歯の本数が少ない

それぞれの状態を解説します。

骨格的な問題がある

骨格の影響で歯並びが悪い方は、歯列矯正だけでは治療できないかもしれません。例えば、歯だけでなく上顎や下顎そのものが突出し、出っ歯や受け口になるケースなど、出っ歯や受け口の原因が顎骨のずれや大きさにある場合、歯並びを整えても治らない可能性があります。
骨格的な問題がある場合は、歯列矯正と外科手術を組み合わせて治療できます。また、骨格が成長しきっていないお子さまの場合は、顎骨の成長をコントロールしながら歯列矯正が可能です。しかし、成長が止まり、骨格のコントロールが難しい大人は、顎骨を削る外科手術と歯列矯正を併用する必要があります。

歯と骨が癒着している

歯は「歯槽骨」と呼ばれる骨に支えられており、歯の根本と歯槽骨は「歯根膜」と呼ばれる膜でつながっています。歯列矯正では、伸縮する歯根膜と溶けたり再生したりする歯槽骨の働きを利用して歯を移動させるため、なんらかの原因で歯根膜が壊れると治療できません。
歯根膜は強い衝撃を受けると壊れ、歯と骨が癒着する「骨性癒着（アンキローシス）」が起こります。歯と骨が癒着した部分は、矯正装置では動かせません。歯列矯正で歯を移動させるためには、歯根膜の働きが重要なのです。

歯列矯正で歯が動く仕組みの詳細は、以下のコラムをご覧ください。
歯並びが改善する仕組みについて

重度の虫歯や歯周病がある

歯列矯正を始める前に重度の虫歯がある場合は、虫歯治療を優先する必要があります。重度の虫歯は、歯を削って被せ物をしたり、抜歯したりして治療します。被せ物の取り付け後や抜歯後の状態で治療計画が変わる可能性があるため、重度の虫歯の治療後に歯列矯正を始めるのが一般的です。

また、重度の歯周病の方も歯列矯正できない可能性があります。歯周病は、歯を支える歯槽骨が溶けて次第に歯がぐらつくようになり、最終的には抜け落ちる病気です。歯周病のまま歯列矯正を進めると、歯の隙間に歯周病菌が入り込み、歯周病が悪化するリスクが高まります。溶けた歯槽骨は元には戻らないため、歯周病の治療を優先します。

歯の本数が少ない

歯の本数が少ない場合は、歯列矯正できない可能性があります。永久歯の数は28〜32本ですが、虫歯や歯周病・怪我・先天性の歯の欠損などが原因で、歯の本数が少ない方もいます。
天然の歯が少ない場合は、矯正装置による歯の移動が難しいため歯列矯正できません。また、義歯で補っている部分も矯正装置では動かないため注意しましょう。例えば、入れ歯や複数のインプラントがあると、歯を動かせない可能性があります。インプラントは顎骨に土台を埋め込み、義歯を取り付ける方法のため、インプラント部分は動きません。
部分的に歯列矯正する場合は、インプラントがあっても治療できる可能性はあります。ただし、歯列矯正後に入れ歯やインプラントの調整が必要になるケースもあるため注意しましょう。

歯列矯正できない場合の対処法

歯列矯正は、歯や骨などの状態にあった方法で行う必要があります。症例によって、ワイヤー矯正・マウスピース矯正・外科的な治療のほか、複数の矯正方法を組み合わせた治療も可能です。
また、歯科医院の設備や治療方針によってできる治療・できない治療があるため、歯科医院選びも重要です。歯科医院で「歯列矯正できない」と診断された場合は、セカンドオピニオンを検討しましょう。
堺市で歯列矯正ができる歯科医院をお探しの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。当院では、お子さまから大人まで幅広い年齢層の歯列矯正が可能です。歯列矯正ができるかどうか不安な方は、まずはカウンセリングにお越しください。

Q1：目立たない矯正装置はありますか？
A1：マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使用するため矯正中も目立ちにくいと言えます。また、ワイヤー矯正でも、白く目立たない素材の矯正装置があります。

Q2：歯列矯正の失敗やトラブルを防ぐポイントはありますか？
A2：まずは信頼できる歯科医院を選びましょう。精密検査ができる設備が整っており、丁寧なカウンセリングを実施している歯科医院であれば信頼できます。また、矯正方法ごとに注意すべきポイントがあるため、歯科医師の指示に従うことも大切です。

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