マルチブラケット矯正は何歳からできる?治療の目安
マルチブラケット矯正は、歯並びや噛み合わせの問題が複雑な症例にも対応できるとして広く用いられる方法です。しかし、マルチブラケット矯正は何歳からでも始められるわけではなく、適切な開始時期の目安が存在します。
本コラムでは、マルチブラケット矯正が開始可能な年齢や治療のメリットや注意点をご紹介します。お子さまの歯の発育状況に応じた最適な矯正開始時期を知り、治療を検討する際のご参考にしてください。
マルチブラケット矯正とは
マルチブラケット矯正は、ワイヤーを通したブラケットを歯に装着し、歯を正しい位置に移動させる治療法です。この治療は、小児矯正にも利用されています。
個々の歯に装置を取り付けるため、さまざまな症例に対応できることが特徴です。一方で、ワイヤーの力を利用して歯を段階的に移動させるため、治療期間が長期化しやすく、矯正装置が目立ちやすい点はデメリットです。
当院が勧めるマルチブラケットについては、以下のコラムもご参考にしてください。
当院が勧めるマルチブラケットとは?
マルチブラケット矯正は何歳から始められる?
マルチブラケット矯正は、永久歯がすべて生えそろったあとに始めるのが一般的な開始時期の目安です。通常、11、12歳前後で最後の永久歯が生えるため、この時期以降に治療を開始するケースが多くなります。
ただし、特定の年齢制限は設けられておらず、何歳からでなければ治療を受けられないといった規定はありません。なお、歯や顎の状態によっては治療を受けられない場合もあるため注意が必要です。
子どもの頃からマルチブラケット矯正をするメリット
子どもの頃からマルチブラケット矯正をすることで、多くのメリットを得られます。それぞれのメリットについて確認していきましょう。
顎の成長を管理できる
子どもの場合は、矯正によってまだ柔軟な骨格の成長を管理できるため、顎の正常な発育を促すことが可能です。
歯並びが乱れたまま顎が成長すると、噛み合わせや顔貌のバランスに悪影響を及ぼすことがあります。
しかしマルチブラケット矯正を早期に行えば、骨格のズレを防ぎ、より自然な噛み合わせを実現できます。
抜歯せずに治療できる
成人矯正では歯を並べるスペースを確保するために、抜歯が必要になることも少なくありません。
一方で、子どもの場合は顎の成長を利用しながら矯正ができるため、スペースを自然に確保しやすく、抜歯を回避できる可能性が高くなります。
子どもの頃からマルチブラケット矯正を行えば、成長を利用しながら身体的負担をできる限り抑えた治療が可能です。
会話や食事をスムーズにできるようになる
矯正によって口まわりの筋肉が正常に動かせるようになると、発音の改善が期待できます。発音がはっきりすると、自分の言葉が相手に伝わりやすくなるため、会話に対する自信が生まれます。
その結果、人とのコミュニケーションが円滑になり、社交性の向上にもつながるでしょう。また、歯並びが整うことで、食べ物を噛みやすくなり、スムーズに食事を行えるのもメリットです。
このように、マルチブラケット矯正は審美面だけでなく、機能面にも優れた影響を与えます。
歯並びのコンプレックスを解消できる
歯並びの乱れは、見た目の印象にも影響を与えます。特に、見た目を気にする年齢になると、コンプレックスによって笑顔に自信を持てなくなる場合があります。
しかし、子どものうちに矯正することでコンプレックスを解消し、自信を持って笑顔を見せられるようになるでしょう。
その結果、精神的な面でも前向きな影響を受けることが期待できます。
マルチブラケット矯正中の注意点
マルチブラケット矯正中は、いくつかの点に注意する必要があります。それぞれの注意点についてみていきましょう。
粘着性の高い食べ物や硬い食べ物に注意
キャラメルやガムなどの粘着性の高い食べ物は、装置に付着すると歯みがきで落としにくく、無理に落とそうとすると装置が外れるリスクがあります。
また、せんべいやナッツ類のような硬い食べ物は、ワイヤーやブラケットに負担がかかって、装置が破損する原因となるため注意が必要です。食事の際は、食材を小さく切るなどの工夫をすると、矯正装置への影響を抑えられます。
口腔内を清潔に保つ
マルチブラケット矯正中は、装置の構造上、食べかすが残りやすいため、意識的に口腔内を清潔に保つことが大切です。歯みがきが不十分な場合、虫歯や歯周病のトラブルを引き起こしやすくなります。
虫歯が発生すると、一時的に装置を外して治療をする必要が生じるため、矯正の進行が遅れる要因となります。そのため、マルチブラケット矯正中は、毎食後歯みがきを行うことが理想です。
トラブル時はすぐに歯科医院に連絡する
矯正装置が外れたり、破損したりした場合は、速やかに歯科医院へ連絡し、適切な処置を受けることが大切です。また、トラブルがなくても定期的に歯科医院に通って、装置の状態確認や、歯のクリーニングを受けましょう。
歯科医師と二人三脚で治療を進めることで、長期的な矯正治療も成功させやすくなります。
マルチブラケット治療で起こりやすいトラブルや、トラブルを減らす方法については、以下のコラムでご紹介しています。
マルチブラケットで起きやすいトラブルとは
Q1:マルチブラケット矯正によって金属アレルギーが引き起こされるリスクはありますか?
A1:マルチブラケット矯正に使われるニッケルやクロムなどの金属に対してアレルギーを持つ場合、腫れや炎症などを発症するリスクがあります。金属アレルギーが心配な場合は、アレルギーリスクの低いチタンやセラミック素材を使用した矯正方法を検討しましょう。
Q2:マルチブラケット矯正に痛みはありますか?
A2:マルチブラケット矯正では、主に歯が動く痛みと矯正装置による痛みがあります。歯が動く痛みは鎮痛剤、矯正装置による痛みはワックスで緩和できます。もし痛みを我慢できない場合は、歯科医師に相談しましょう。