マルチブラケットが外れてしまった!そんな時はどうする?
矯正治療中、突然マルチブラケットが外れると、慌ててしまう方も多いでしょう。ブラケットが外れるのは比較的多いトラブルで、適切な対処をしないと治療に悪影響を及ぼす可能性があります。
本コラムでは、ブラケットが外れた際の応急処置や再装着の費用、放置した場合のリスクなどについて解説します。
最後までお読みいただければ、万が一の際にも慌てず冷静に対応できるでしょう。
矯正治療中の方はもちろん、これから治療を始める方も、ぜひご覧ください。
マルチブラケットが外れたらまず行うこと
マルチブラケットが外れたら以下のプロセスを行いましょう。
・かかりつけの歯科医院に連絡する
・応急処置①|外れた装置の確認と保管
・応急処置②|矯正用ワックスによる口腔内の保護
それぞれについて解説します。
かかりつけの歯科医院に連絡する
ブラケットが外れたら、まずかかりつけの歯科医院に連絡し、通院の必要性や自宅での様子見が可能かなど、指示を仰ぎましょう。治療開始から1週間以内の場合や次回の診察で装置を外す予定がある場合は、早急な受診が必要です。
連絡の際には、以下の点を伝えると適切な指示を受けやすくスムーズです。
・外れた部位(上下左右・前歯奥歯など)
・いつ外れたか(何をしているときなど)
・痛みや違和感の有無
休診日で連絡が取れない場合は応急処置を行い、診療再開後に速やかに連絡します。外れたブラケットは必ず持参し、受診までの経過を詳しく説明しましょう。
歯科医院で再装着したあとも、短期間の内に何度も外れる場合や次回診察までの期間が長い場合は、受診日を早めて装置の状態確認が必要になる可能性があります。
応急処置①|外れた装置の確認と保管
ブラケットがワイヤーから完全に外れているのか、ワイヤーにぶら下がった状態なのかを確認します。
完全に外れた場合は、清潔なケースなどに入れて保管してください。損傷がなければ再利用が可能なため、 適切な保管が必要です。
ワイヤーにぶら下がった状態のブラケットを放置すると口内を傷つける原因となります。しかし、無理に外そうとするのは危険です。次の応急処置②の手順に従って、ワックスでの保護を行いましょう。
また、破損が原因で外れた場合は口内に部品が残っていないか確認しましょう。
応急処置②|矯正用ワックスによる口腔内の保護
ワイヤーがぶら下がったり、ブラケットが突出していたりする場合、応急処置として、矯正用ワックスを使用します。ワックスは歯科医院で購入可能で、装置や症状に合わせて適切なタイプを選択します。ワックスを適量つけ、口内の怪我を防ぎましょう。
他院で再装着は可能?
急な転勤や引っ越しなどでかかりつけの歯科医院に通えなくなった場合も、他院での再装着が可能です。
ただし、装置のブランドや規格が異なる場合、完全な互換性が得られない可能性があります。他院を受診する際は、現在の治療計画や使用している装置の種類、治療経過の情報が必要です。
マルチブラケットを再装着するときの費用
再装着の費用や対応は歯科医院により異なり、日常生活で外れた場合は無料で対応できるのが一般的です。
ただし、装置の紛失や破損した場合は追加料金が発生します。また、結婚式など自己都合による一時的な取り外し・再装着は有料となるケースがほとんどです。
外れたマルチブラケットを放置するとどうなるのか
装置を放置すると、せっかく動いた歯が元の位置に戻る「後戻り」が起きやすくなり、最終目標の歯並びまでの治療期間は想定以上に長くなってしまいます。
また、歯に加わる力のバランスが崩れ、意図しない方向へ歯が移動する可能性があります。一般的には次回の診察日まで4〜5日程度であれば大きな問題は生じませんが、10日以上の放置は避けるべきです。
マルチブラケットが外れる原因
マルチブラケットが外れる最大の原因は、装置に過度な負担がかかることです。
考えられる状況としては、以下の通りです。
・硬い食べ物を頻繁に食べる
・指や舌で装置に触れる
・歯みがきが不十分
・不正咬合で負担がかかる
それぞれについて詳しく解説します。
硬い食べ物を頻繁に食べる
硬い食べ物は装置に過度な負担をかけます。特に前歯で直接噛むと、ブラケットが外れやすくなります。せんべいやナッツ類、固いパンなどは強く噛みやすいため要注意です。
また、ガムやキャラメルなどの粘着性のある食品が装置に付着すると張力が発生し、外れる原因となります。
指や舌で装置に触れる
装置への違和感から指や舌で触れてしまう習慣は装置を緩める原因となります。特に就寝中は無意識に舌で触れ続けるため、長時間の負担がかかります。
装置に気を取られて舌で触る、頬の内側で触る癖がある方は注意が必要です。違和感が続く場合は早めに歯科医院へ相談しましょう。
歯みがきが不十分
ブラケット周辺は歯垢が蓄積やすい場所です。この部分の清掃が不十分だと、装置との接着力が低下していきます。特に装置のまわりと歯ぐきの境目は丁寧に磨く必要があります。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシで装置の上下、フロスは装置の隙間に使用するなど、補助器具も活用しましょう。
不正咬合で負担がかかる
上下の歯の噛み合わせが深すぎたり、歯並びが乱れたりしていると装置に余分な力が加わります。特に上の前歯が下の前歯を深く覆うように噛む場合、食事の際にブラケットと歯が直接接触するケースもあります。
また、治療の過程で歯が移動すると、装置にかかる力の方向も変化するため、外れるリスクが高まります。
当院では、予防的なケア方法や装置の正しい使用方法を丁寧に説明いたします。また、マルチブラケットが外れた際はすぐにご連絡ください。
Q1:ブラケットを誤って飲み込んでしまった場合はどうすればよいですか?
A1:特に症状がなければ数日後に自然に排泄されるため、大きな心配は不要です。ブラケットは小さな装置なので、消化管への影響も極めて低いとされています。ただし、むせたりせき込んだりする場合は要注意です。いずれの場合も、まずかかりつけの歯科医院に連絡し、指示に従いましょう。
Q2:ブラケットが1回外れただけでも、治療に影響がありますか?
A2:1回外れること自体は珍しくありません。ただし、短期間に何度も外れる場合や、頻繁に外れる場合は治療効果が得られにくく、治療期間が延びる可能性があります。気になる場合は早めに歯科医院に相談しましょう。