歯並びと全身の健康の関係性
歯並びが悪く、人前での笑顔に抵抗を感じることもあるでしょう。しかし、歯並びが悪いことによる問題は見た目だけにとどまりません。歯並びの乱れは、口腔内以外に全身の健康にも悪影響を及ぼします。
本コラムでは、歯並びの悪さが身体にどのような影響を与えるのか解説いたします。
歯並びと健康の関係は?
歯並びの悪さが全身の健康に及ぼす悪影響については以下の通りです。
・虫歯、歯周病になりやすい
・咀嚼機能が低下する
・顎関節症の原因となる
それぞれの症状について詳しくご解説します。
虫歯・歯周病になりやすい
歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすくなります。丁寧に歯磨きをしているつもりでも、歯ブラシが届かず磨き残しが多くなるためです。たとえフロスや歯間ブラシなどを使用したとしても、汚れが除去し切れない箇所が生じます。
磨き残しは歯垢(プラーク)の原因となり、虫歯や歯周病のリスクを高めます。歯周病になると、歯周病菌が口から全身に広がり、心疾患や糖尿病など身体のいたるところに影響を及ぼします。特に歯周病菌が原因で血管内に血栓が発生した場合は、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気につながることが考えられます。
また、歯を失う原因の1位が歯周病であり、多くの人が罹患している病気です。歯を失うと、食べたいものが食べられないだけでなく、食事の偏りによる栄養状態の悪化も懸念されます。好きな物を食べ、健康を維持するためにも虫歯や歯周病の予防に注力しましょう。
さらに、最近の研究では、歯周病とアルツハイマー型認知症との関連性も判明しており、失う歯の本数が増加するにつれ、アルツハイマー型認知症のリスクが高まるとされています。
このように、虫歯や歯周病は全身の健康に大きく影響する病気です。
咀嚼機能が低下する
歯並びや嚙み合わせに問題があると、噛む力のバランスが崩れ、咀嚼(そしゃく)機能が低下します。食べ物をうまく噛み砕けないようになると、硬いものや噛み難いものを避け、飲み込むような状態となり、栄養の偏りや消化不良を引き起こします。また、咀嚼機能の低下は早食いになりやすく、満腹感が得られないため食べ過ぎにもつながるでしょう。
子どものころから歯並びが悪いと食べ物をうまく噛めず、やわらかいものばかりを好んで食べるようになります。そのため、顎がしっかりと発達しません。顎の発達が不十分だと、永久歯がきれいに収まらず、乱れた歯並びになってしまいます。しっかりと噛む行為は、健康の維持や子どもの成長のために大切です。
歯並びの悪さと咀嚼機能の低下は、密接に関係しています。咀嚼の少ない食事は、口腔内の状態だけでなく、栄養不足や胃腸障害といった悪影響につながります。
顎関節症の原因となる
歯並びの悪さは、顎関節症(がくかんせつしょう)にもつながる可能性があります。歯並びのせいで噛み合わせが悪化し、噛んだときに力が偏る、常に上下の歯がぶつかっている、歯ぎしりがあるなど、顎に不要な負担がかかっている状態は顎関節症の原因となります。
口を開けると痛みがある、顎を動かすと音がなるといった症状は顎関節症の特徴です。顎関節症になると、顎周りの筋肉が緊張し、首回りや肩周辺の筋肉のこりを引き起こします。それが原因で頭痛や耳鳴りなど、さまざまな不調があらわれます。また、喉が詰まった感じや眼精疲労など、顎関節症とは関係ないような症状も、実は顎関節症が関連している場合もあるのです。
身体の不調はストレスにつながり、自律神経を乱す可能性があります。日常生活へ支障をきたすほどの症状があらわれることもあるでしょう。歯並びの悪さが原因の症状は、口まわりだけではなく、全身の健康にさまざまな形で関係しています。
歯科矯正は歯だけでなく全身を整える
歯科矯正による歯並びの治療は、食事や口腔内の健康維持といった身体面だけでなく、精神面にもよい影響を及ぼします。見た目のコンプレックス解消で自分に自信が持てるようになり、矯正の結果、表情が明るくなった、笑顔が増えたと感じる方も多いようです。
しかし、歯科矯正は金銭的にも時間的にも負担が大きいため、まずは矯正歯科医院へ相談してみましょう。不安や疑問が解消されれば、矯正治療を前向きに検討できるでしょう。
当院では患者さま一人ひとりの悩みに寄り添えるよう、カウンセリングを重視しております。矯正治療について少しでも不安があれば、ぜひご相談ください。
Q1:歯並びと発音の悪さは関係ありますか?
A1:関係があります。歯並びが悪いと、空気が漏れてうまく発音できない、舌の動きが制限されるなどが考えられます。特に前歯の歯並びが悪いと発音への影響は大きくなります。
Q2:歯並びが悪いと顔が歪むと言われたのですが、本当ですか?
A2:歯並びが悪いと顔のバランスが変化し歪みがでる可能性があります。嚙み合わせの悪さから同じ方向で噛むクセが習慣になるためです。