親知らずが矯正治療に及ぼす影響
矯正治療で気になることの1つが、親知らずを抜くべきかという問題です。「親知らずを抜いたほうが矯正治療を進めやすい」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。本コラムでは、矯正治療で親知らずを抜く理由と、抜くメリット・デメリットについて解説します。
歯並びに悪影響がある親知らずは抜く
矯正治療を行うときに、悪影響がある生え方をしている親知らずは抜くのが基本です。さらに必要があれば、親知らずだけでなく第一小臼歯や第二小臼歯を抜く場合もあります。なぜなら、歯がきれいに並ぶスペースをつくることが、矯正治療において重要だからです。顎が小さい日本人は、歯がきれいに並ぶスペースが取れないケースが多く、矯正する方の50%以上が抜歯しているといわれています。
ただし、なかには抜歯する必要のない親知らずもあります。正しい生え方でまわりの歯に影響を与えない場合や、抜歯しない方が嚙み合わせのバランスが良い場合には、抜歯はしません。そのため、抜く・抜かないの勝手な自己判断はせず、必ず矯正歯科に相談することが大切です。また、抜歯をするタイミングは、矯正装置をつける前が一般的です。歯がきれいに並ぶスペースを確保してから治療を始めるのと、抜歯のときに矯正装置を壊してしまうことを回避するためです。基本的に抜歯は予後の確認をしながら少しずつ行うため、何本も抜く場合は、矯正を始めるまでに何か月も余分な時間がかかる可能性もあるので注意しましょう。
矯正治療で親知らずを抜くメリット・デメリット
矯正治療で親知らずを抜くときのメリットとデメリットをまとめました。まず、主なメリットは次の3つです。
・歯がきれいに並ぶスペースができる
・矯正後の後戻りが防げる
・虫歯が防げる
歯がきれいに並ぶスペースをつくるほかに、親知らずの抜歯をしておくと矯正後の後戻りが防げ、きれいな歯並びを保ちやすいメリットもあります。また、磨きにくい親知らずがなくなることで、虫歯や歯周病も防ぎやすくなります。一方、親知らずを抜く主なデメリットは、次の2つです。
・痛みや腫れが起こる可能性がある
・抜歯の費用がかかる
抜歯により痛みや腫れが起き、少しの間生活に支障が出る可能性もあります。また、矯正歯科によっては、矯正治療費に加え、抜歯の費用も必要となる場合があります。矯正による抜歯は、保険適用にならないので注意しましょう。
口腔内の状態によって、親知らずを抜いた方がよいか、抜かないで治療した方がよいかは異なります。正しい知識を持った矯正歯科に相談し、自分にとってベストな治療を選択していきましょう。
Q1:矯正治療をするときに親知らずは必ず抜かなければいけませんか?
A1:正常な状態の親知らずであれば、抜く必要はありません。ただし、まわりの歯に悪影響を与える恐れがある親知らずは抜いたほうがよい場合があります。
Q2:親知らずを抜くデメリットは何かありますか?
A2:親知らずを抜くと腫れや痛みが起こる可能性があります。また、抜歯には別途費用がかかります。