大人になってからでは遅い?矯正治療が向いている年齢
「矯正治療は子どものうちに始めるもの」
このように考える方は多いかもしれません。しかし、実際には大人になってからでも矯正治療は可能です。
本コラムでは、大人が矯正治療を受けるメリットとデメリット、子どもの矯正治療との違いを解説いたします。
歯並びや噛み合わせの改善を考えている方は、治療を検討する際のご参考にしてください。
矯正治療の対象年齢
矯正治療に年齢制限はなく、子どもから大人まで治療が可能です。
歯並びの改善は見た目だけでなく、噛み合わせや口腔の健康にも良い影響を与えます。
ただし、歯と歯茎の状態によっては治療が難しい場合もあるため、矯正を検討する際は必ず歯科医師の診察を受けましょう。
大人と子どもの矯正治療の違い
大人と子どもの歯で最も大きな違いは、「骨の成長が完了しているかどうか」です。この点を踏まえ、それぞれのメリット・デメリットや特徴を見ていきましょう。
大人の矯正治療のメリット
大人の矯正治療のメリットは次の通りです。
・治療計画が立てやすい
・健康面でのプラスがある
・肩こりや頭痛の改善に繋がる
大人の場合、顎の骨の成長が完了しているため、治療後のシミュレーションがしやすく治療計画を立てやすいのがメリットです。
歯列を整えることで虫歯や歯周病のリスクを低下させ、将来的な歯の健康寿命が延びます。また、きちんと咀嚼ができるため、胃腸への負担が減り、健康面にも良い影響を及ぼします。
噛み合わせの悪さが肩こりや頭痛の要因になっている場合、噛み合わせが改善することで、症状も快方に向かうことがあります。
大人の矯正治療のデメリット
大人の矯正治療のデメリットは次の通りです。
・虫歯や歯周病の進行で矯正治療不可の場合がある
・審美面で問題になることがある
・治療に必要な期間が長くなりがち
虫歯や歯周病が進行している場合、矯正を行う前に虫歯の治療を行います。
大人では、歯周病のリスクもあります。歯周病は年齢が高くなるごとに罹患率も高くなります。10代後半から20代前半の罹患率が20%であるのに対し、30代後半から40代前半では40%の割合です。
治療中の審美面の問題もあります。人前に出る仕事をしている場合は、矯正器具が気になり、治療を躊躇するケースもあるでしょう。
また、大人は子どもに比べて歯の移動に時間がかかるため、治療に必要な期間が長くなる傾向にあります。
子どもの矯正治療のメリット
子どもの矯正治療のメリットは次の通りです。
・顎の成長を利用した治療ができる
・抜歯なしで矯正治療できる可能性がある
・顔立ちのバランスも整いやすい
小学生以下の年齢では、顎が成長中のため、成長を活用した治療ができるのがメリットです。
床矯正は、永久歯が生えそろう前の子供に適応する治療法です。歯の並ぶスペースを広げ、歯列がきれいに収まるようにします。矯正治療では抜歯や外科手術が必要になるケースもあります。しかし、床矯正で歯の納まるスペースが確保できれば、抜歯しなくとも矯正が可能です。
床矯正は、顎の骨格を広げるため、歯並びだけでなく顔立ちのバランスも整いやすく、将来的に口元のコンプレックスを感じることがないでしょう。
永久歯が生えそろう12歳頃には大人と同じ矯正方法になりますが、新陳代謝が活発なため、歯に矯正力がかかりやすく、歯列を整えやすいメリットがあります。
床矯正については、以下のコラムもご参考にしてください。
床矯正について知ろう
子どもの矯正治療のデメリット
子どもの矯正治療のデメリットは次の通りです。
・成長に伴い、再矯正が必要になる場合がある
・治療期間が長くなるケースがある
・歯並びに影響するクセの修正が必要になる
子どもの頃に矯正治療をしても、成長に伴って骨格が変化して歯列が乱れ、再矯正が必要になる場合もあります。
また、顎の成長を利用する一期治療では、永久歯が生え揃うまで長期間に渡る治療が必要となるケースも少なくありません。
さらに、指しゃぶりや口呼吸などのクセが歯列にも影響するため、歯並びに悪影響のあるクセを直す必要もあります。
子どもの矯正治療は、本人の意思だけでなく保護者の意向も影響することが多く、大人に比べて矯正治療に対してモチベーションが維持しにくい場合があります。
さらに思春期の時期は、矯正器具を気にしてストレスを感じやすい点もデメリットです。
大人の矯正治療の注意点
大人になってからの矯正治療は、虫歯や歯周病の有無などの口腔内の状態が重要です。そのほか、骨粗しょう症や糖尿病などの疾患によって治療できないケースもあります。
年齢を重ねるにつれ、歯周病や骨粗しょう症は発症率が高くなるため、矯正治療を念頭においている方は、早めの開始を検討しましょう。
また、大人の矯正治療では、顎が狭くて歯列が収まりきらないと抜歯が必要になるケースがあります。
さらに、顎の骨が硬くなっているため、歯の移動に時間がかかることも少なくありません。
しかし、大人になってからの矯正治療は、健康面の改善やライフスタイルに合わせた方法を選択できるメリットがあります。
Q1:目立たないマウスピース矯正をしたいのですが、大人でも可能ですか?
A1:マウスピース矯正は永久歯が生えそろった年齢から適応されるため、大人の方ももちろん可能です。マウスピース矯正が可否は年齢よりも歯列の状態によりますので、歯科医院でご相談ください。
歯並び別でおすすめできる矯正治療については、以下のコラムもご参考にしてください。
歯並び別でオススメの矯正治療
Q2:仕事が忙しくなかなか時間が取れないのですが、矯正中はどれくらいのペースで通院が必要ですか?
A2:口腔内の状態にもよりますが、矯正器具を装着している期間は、月に1回ほどのペースで定期的に通院していただいております。