矯正治療中の外食は何がおすすめ?歯科医師が解説
「矯正治療中は何を食べたらいいのだろう」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。
特に外食をする際は、どのようなメニューを選べば良いのか戸惑うかもしれません。
そこで、本コラムでは、矯正治療中の外食でおすすめのメニューを解説します。避けるべき食べ物や、外食時のポイントもわかるため、ぜひご参考にしてください。
【矯正治療中の外食】おすすめメニューと食事のポイント
矯正治療中でも、矯正装置や口腔内への負担をおさえながら楽しめる外食メニューを、主食・副菜・デザートに分けて解説します。
主食・主菜
外食時の主食・主菜としておすすめできるメニューは以下の通りです。
・うどん
・おかゆ、リゾット
・挽肉料理(キーマカレー、ハンバーグなど)
・うな重
・海鮮丼
・シチュー
・魚料理
・卵料理(オムライス、だし巻き卵など)
・豆腐料理
・餃子
・鶏つくね
挽肉料理は食材自体が細かく刻まれているため、噛むことによる痛みが出づらく、矯正装置への負担も抑えられます。キーマカレーやハンバーグ、オムレツなど料理のバリエーションが豊かで、メニューの選択肢も幅広いため、迷った場合は挽肉料理から選ぶとよいでしょう。
また、食べやすく栄養素が豊富な魚や豆腐も積極的に取り入れたい食材です。煮魚や麻婆豆腐など、負担なく味わえるためおすすめです。餃子もタンパク質と野菜が同時に摂れるため、矯正治療中の食事に適しています。
副菜
外食時の副菜でおすすめのメニューは以下のものがあります。
・温野菜
・マッシュポテト
・スープ
・スムージー
茹でたり蒸したりした温野菜は、副菜に適しています。矯正治療の初期で痛みが強い場合、スープやスムージーを取り入れましょう。食材が細かく刻まれていたり、ミキサーにかけられていれば、痛みを最小限にしつつ確実に栄養を摂取できます。
デザート
次に、外食時のデザートとしておすすめのメニューは以下の通りです。
・ゼリー
・アイス
・ヨーグルト
・プリン
フルーツを使った寒天ゼリーは、矯正装置への負担なくビタミンを摂取できるため、おすすめメニューの一つです。また、アイスクリームは口の中が冷えるため、矯正中の痛みをやわらげる効果も期待できます。ただし糖分が多く、虫歯リスクを高めるため、食べすぎには注意しましょう。
口内炎がある場合に取り入れたい食材
矯正治療中は、粘膜や舌に装置が当たったり、口腔内の環境が変わったりするため口内炎に悩まされる患者さまもいます。そのため、口内炎の治癒を助けるビタミンB2・B6を含む食材を選ぶようにしましょう。
ビタミンB2を含む食べ物
ビタミンB2を含む主な食べ物は以下の通りです。
・鮭
・マス
・豚肉
・牛肉
・牛乳
・卵
・ブロッコリー
ビタミンB2は細胞の再生や新陳代謝をサポートし、粘膜を健全に保つ働きをします。水溶性ビタミンで体内に蓄積されないため、毎日の食事からこまめに摂取したい栄養素の一つです。
ビタミンB6を含む食べ物
ビタミンB6を含む食べ物は以下の通りです。
・マグロ
・カツオ
・鮭
・大豆
・バナナ
ビタミンB6は免疫機能をサポートし体の抵抗力を高めるため、皮膚や粘膜の修復を促進する効果が見込めます。また、アレルギーへの抵抗力をアップさせ、疲労回復の促進効果も期待できる栄養素です。
矯正治療中は控えたい食べ物の特徴
矯正治療中に控えたい食べ物は、装置の破損につながるものや、虫歯のリスクを高めるものです。
例えば、強く噛む必要があるステーキやバゲットなどの硬いパンは、矯正装置の破損リスクを高めるため控えましょう。お餅やキャラメル、ガムなど粘着性があるものや、ニラ、ほうれん草など繊維の多い食材も避けましょう。歯みがきで落としにくいうえに、ブラケットやワイヤーの破損につながります。
また、矯正治療中は装置で歯みがきがしづらいため、虫歯リスクが高まります。糖分の摂りすぎにも注意が必要です。
外食時のポイントと注意点
矯正治療中でも、以下のポイントと注意点を把握しておけば、過度な心配をせず快適に外食を楽しめます。
小さく切って少しずつ食べる
食事の際はできるだけ小さく切って、少しずつ食べるようにしてください。大きな口を開けて噛みちぎる食べ方は、矯正治療中は避けるべき動作といえます。食べ物が引っかかって矯正装置が外れやすくなるだけでなく、噛む際の痛みを増悪させる可能性があります。
奥歯で噛む
食材は奥歯で噛むよう意識しましょう。前歯は奥歯に比べて厚みがなく、食べ物をかみ砕くと装置の隙間に食べかすが残りやすいため、虫歯や歯周病リスクを増加させます。
特に矯正治療の初期は、痛みを感じやすい前歯の負担を軽減するためにも、奥歯で噛むことが推奨されます。
こまめに水を飲む
食事中は、こまめに水分補給をしましょう。水を飲むことで、食べかすが装置につまりにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。
水分補給は唾液の分泌を促す効果もあります。唾液にはカルシウムやミネラルが含まれており、歯のエナメル質を強化し、虫歯予防に役立ちます。
特にマウスピースの装着時は厚みで口が閉じにくくなり、口呼吸になりがちです。口呼吸による乾燥に加え、マウスピースが歯を覆うことで唾液の循環が阻害されるため、意識的に水を飲むことが大切です。
外食に持参するとよいアイテム
矯正治療中は、虫歯リスクが高まります。そのため、外出先でも口腔ケアが可能な以下の3つのアイテムを持参するとよいでしょう。
・歯ブラシ
・歯間ブラシ
・鏡
食後の歯みがきの際には、歯間ブラシを併用し、装置の周囲まで確実に清掃することが重要です。そのため、外出先でも鏡を見ながら歯をみがくことを心がけましょう。
矯正装置を装着していると、歯と装置の位置関係をある程度把握できるようになるため、鏡を見なくても十分清掃できると判断するかもしれません。しかし、歯の位置は治療が進むにつれて変化します。
鏡を見ずに歯みがきを行うと、汚れが十分に除去できないだけではなく、歯間ブラシで器具を破損させたり、歯肉を傷つけたりする恐れがあります。
Q1:食後の歯みがきができない場合どうすればいいですか?
A1:歯みがきが難しい場合は、うがいだけでもするようにしましょう。清潔な状態を保つために、マウスウォッシュを携帯するようにして、活用するのも効果的です。
Q2:矯正治療中の歯みがきは何分くらいすればいいですか?
A2:具体的な決まりはありませんが、矯正装置と歯の間の汚れをまんべんなく除去しようとすると40分程度はかかるといわれています。実際に1回の歯みがきに40分かけるのは難しいものの、少なくとも1日3回、歯ブラシ・歯間ブラシ・タフトブラシなどを使ってしっかり汚れを落としてください。