拡大床矯正とは?
歯並びの矯正治療にはさまざまな方法がありますが、そのなかでも拡大床を使った矯正治療は、子どもの歯の成長をサポートする手段として注目されています。
拡大床矯正は歯の生えるスペースを確保し、正しい位置に歯を誘導する治療法です。本コラムでは、拡大床を使った矯正治療の効果について解説いたします。また、拡大床の種類や治療を始める一般的な時期にも触れているため、お子さまの矯正治療をお考えの方は、ぜひご参考ください。
拡大床とはどんな矯正装置?
拡大床は、歯列の拡大をサポートする矯正装置で、床装置やアクティブプレートと呼ばれることもあります。継続的な使用により歯が生えてくるスペースを確保できます。拡大床は抜歯をしたり、歯を削ることなく矯正ができる装置です。また、自由に取り外せるため、装置を気にせず食事や歯みがきなどを行えます。
装置はプラスチックのワイヤーやプレートで構成されており、拡大ネジを回すことで歯を外側に移動する仕組みです。毎日決められた時間の装着を長期間続けることで、少しずつ歯列が拡大していきます。
拡大床の効果は?
拡大床は子どもに使用される矯正器具です。治療を始める時期は5〜7歳までが一般的とされていますが、子どもの発育状況にもよるため、一概にはいえません。拡大床の効果は年齢によって異なります。治療の開始時期が早いほど効果が出やすく、治療期間が短くなる傾向にあります。
一方、一日の装着時間が治療期間に影響するため、装着時間が短いと治療が思うように進みません。そのため、効率的に治療を終わらせるには、睡眠時間を活用しながら、なるべく長時間の装着を心がける必要があります。
拡大床|種類別の特徴
拡大床には複数の種類があり、治療スピードや拡大の範囲など特徴がそれぞれ異なります。そのため、歯並びや口内の状態に合わせて、適切なものを選ぶことが大切です。拡大床における種類別の特徴を確認していきましょう。
拡大床
拡大床は、矯正治療でメインとなる装置です。食事や外出時などには自由に取り外しができるため、治療中のストレスが溜まりにくいのが特徴です。使用することで歯列を頬側に拡大できます。また、歯が内側に傾いている場合の矯正に使用されることもあります。
急速拡大装置
固定式の拡大床で、歯列だけでなく骨も拡大できるのが特徴です。ただし、一度治療を始めると自由に着脱ができません。そのため、ストレスを感じることもありますが、拡大床よりも歯列の拡大速度が速いため、短期間で治療が完了する傾向にあります。治療を早く終えたい方におすすめです。
クワドヘリックス
急速拡大装置と同じく固定式の拡大床で、歯の裏側に装着し、前歯の矯正も行えるのが特徴です。
通常の拡大床よりも速いペースで拡大できますが、急速拡大装置よりは変化がゆるやかに進みます。クワドヘリックスでは、顎の骨はほとんど広がらないので、骨の拡大も目的とする場合は急速拡大装置の方が向いているでしょう。
咬合挙上床
咬合挙上床(こうごうきょじょうしょう)は、噛み合わせの深い場合(過蓋咬合)の治療に用いられる拡大床です。咬合挙上床の使用により、あえて奥歯を噛み合わせないようにすることで、深い噛み合わせを矯正します。また、着脱式になっているので、食事や歯みがき時には自由に取り外しができます。
拡大床のタイプ
拡大床には「スケルトンタイプ」と「プレートタイプ」の2種類があります。スケルトンタイプは、プレートを使用せずにワイヤーやネジ、バネなどを使って歯の隙間を拡大します。
一方でプレートタイプは、レジンで作られたプレートと金属製のワイヤー、歯列の拡大を調整するネジを使います。両者の違いはプレートを使用しているかどうかにあります。プレートは透明な作りになっているため、目立ちにくいのが特徴です。
拡大床の使用方法
拡大床を使用する際は、装置の中央にあるネジを回して徐々に拡大していきます。装置に埋め込まれている矢印の方向に回すことで装置が拡大し、歯列が広がっていくのが拡大床の仕組みです。ネジは90°になると止まるようになっており、それを一回としてカウントします。どのタイミングで何回転させるかは歯科医師の指示に従ってください。
また、拡大床を装着する前には歯みがきを行うことが大切です。歯に汚れがついた状態で装置をつけてしまうと、虫歯や歯茎が腫れる原因になります。さらに、装置自体にも汚れをつけないようにする必要があります。使用後は柔らかい歯ブラシで水洗いしてください。
拡大床の使用開始時期は人によって異なりますが、使用方法は変わりません。正しい使い方と管理で安全に使用しましょう。
Q1:拡大床は一日に何時間つけておけばいい?
A1:拡大床は、一日12時間以上装着するのが基本です。一日12時間と聞くと長いように感じるかもしれませんが、寝ている間にも装着できるため、睡眠時を利用することで日常生活には支障をきたさずに治療を進められます。
Q2:拡大床のお手入れ方法は?
A2:ネジやバネの部分は、歯ブラシを使って優しく擦り、汚れを取り除きます。すすぐ際には水やぬるま湯を使いましょう。お湯を使うと熱によって拡大床が変形する恐れがあるため、注意が必要です。